東北大学アマチュア無線部部誌 Vol.2 秋号(2020年10月発行)

Vol.2 表紙

本誌は東北大アマチュア無線部部誌の第2号になります。オンラインにて開催された東北大学祭に出展いたしました。また、有志のアマチュア無線家により開催されたバーチャルハムフェス2020にも出展いたしました。私たちの活動を知っていただくために、東北大アマチュア無線部では、JARL主催/有志主催に問わず様々なオンラインイベントに積極的に参加していきたいと考えております。
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アマチュア無線 3級・4級の点数が面白いほどとれる
富沢いずみ

さて、このページを今見てくださっていると言うことはアマチュア無線に少しでも興味を持っている方ということになるのでしょうがアマチュア無線って何なの?大学のサークルのアマチュア無線部はどんな団体でどんな活動をしているの?と素朴な疑問を持っている方も多いと思われます。確かに今の時代アマチュア無線に全く触れることがなくても国内外の人と電話、SNS、ウェブサイトなどを使って気軽に連絡を取ることが出来るためその存在をあまり知らなくても自然なことと思われます。しかしアマチュア無線は未だに様々な可能性を持つ楽しい趣味としてそして時には便利なものとして知って、使って損のないものなのです。このページではそんなアマチュア無線についての基礎知識と当部についての紹介を行っていきます。また本冊子の他の記事にはアマチュア無線に関する技術的な記事や運用についての記事など様々取り揃えていますので是非楽しんで読んでみて下さい!!

アマチュア無線の交信
部員K

アマチュア無線では毎日多くの方が、電波を使って交信を行っています。アマチュア無線の交信と聞いてどんな内容を話しているの?と疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。今回は、通常交信とコンテストにおける交信の様子を紹介していきたいと思いますので、ぜひアマチュア無線に興味を持っていただければと思います。

東北大周辺のお手軽移動運用スポット
JP7VTF

アマチュア無線にはさまざまな楽しみ方がありますが、最もポピュラーな楽しみ方は他の無線局との 交信でしょう。せっかく交信するのなら、なるべく遠くまで電波を飛ばし、どれだけ遠くにある無線局と交信できるかチャレンジしてみたいものです。遠くまで電波を飛ばす方法にはさまざまありますが、手っ取り早く遠くまで電波を飛ばす方法に、電波を遠くまで飛 ばし やすい高台や見通しの開けた場所に自分が移動するという方法があります。これをアマチュア無線では「移動運用」と呼ばれます。今回は、東北大の周辺で手軽に移動運用ができるスポットをいくつか紹介します。

自作ログロフトを作ってみた
部員K

ログソフトとはアマチュア無線の交信を記録するために使われているソフトウェアのことです。基本的には、交信した局のコールサインやRSレポート、相手局の様々な情報を 入力し保存し、表示する、編集するといった機能が実装されています。現在も様々なログソフトが使われており、通常交信用やコンテスト用などさまざまなソフトウェアがあり、多くのソフトウェアが無料でダウンロードして使うことができるようです。今回は、そのようなログソフトウェアを自作してみたのでまとめたいと思います。

デジタル変調方式について
リー

アナログ変調は、送りたい信号を規格(搬送波のこと)にのせて使うことでノイズを軽減するなどの正確に情報の伝達を行うことが主目的でした。しかし、デジタル変調は 0、 1の情報しか元々所持しておらず、正確に復調するのではなく 0、 1を判別すれば良いため、ノイズはあまり問題になりません。そのためアナログ変調と異なり、「正確に情報を伝達すること」に加え、デジタルでは標本化定理 5に則って信号が復元されることから「高速に大量の情報を送ること」も重要になってきます(アナログの時、速度は元の信号に依存する。例えば「言葉を話す」など)。そのため、アナログの時とは異なる考え方を学ぶことが重要になってきます。次に主な変調方式 4種類を説明します。

誤り訂正符号って?
JP7VTF

みなさんの中でCDや DVD、 BDを使ったことがない人はほとんどいないのではないでしょうか。これらの光ディスクは、表面に極めて微小なくぼみが彫られており、このくぼみのパターンによって情報を記録しています。再生機 (CD,DVD,BDプレイヤー )はこのパターンにレーザ光を照射し、その反射を見ることで情報を読み出しています。では、ディスクの表面に傷があったらどうなるでしょうか?おそらく、レーザ光の反射の仕方が変わり、期待していたものとは違う情報が読み出されてしまい、音楽や映像を正しく再生できなくなりす。でも、たとえば、みなさんのお家にある古くて傷がついてしまっているような CDやレンタルビデオ屋から借りてきた、使い古されて傷のついた DVDでも再生できたという経験があるのではないでしょうか?もしかしたら、それは誤り訂正符号のおかげかもしれません。

MATLABを用いたWSPRの生成:通信路符号化の例
部員W

アマチュア無線というと、音声による通信やモールス符号による通信(通称CW: Continuous wave)などを思い浮かべるかと思います。実は、アマチュア無線にはそれ以外にもPCを用いたデータ通信も盛んに行われています。近年、宇宙物理学者Joseph Taylor氏(1993年ノーベル物理学賞)を中心に開発されたWSJT系(Weak Signal Communication by Joe Taylor)モードがアマチュア無線家の間で流行しています。これらのモードは地球上の無線局から月面に電波を照射し、その反射波を受信することで通信を行う月面反射通信(EME: Earth-moon-earth)用に開発されましたが、近年は短波帯(HF: High frequency)を用いた遠距離通信にも用いられるようになりました。
WSJT系のモードにはさまざまなものがあります。最もポピュラーなものとしては、HFでの遠距離通信に用いられる「FT8」や、より短時間に交信ができるようにした「FT4」が挙げられます。また、FT8登場以前にEMEやVHF(Very high frequency)、UHF(Ultra high frequency)帯、HF帯で使用されていた「JT4」、「JT9」、「JT65」などの「JTシリーズ」があります。これらのモードは双方向通信を行うためのものであり、お互いにコールサインを交換しあいます。
一方、WSPR(ウィスパー:英語で「ささやき」の意)は、放送のように一方向通信を行うためのWSJT系モードです。WSPRは「Weak signal propagation reporter」の略で微弱な信号の伝搬を報告するためのモードです。世界中にはWSPRの信号を受信している局が多数あります。これらの局は無線機で受信した信号をパソコンで復調し、「WSPR.net」というサイトに自動で報告します。WSPR.net上では世界中からの受信報告がデータベース化されています。WSPRの特徴として、前述のFT8などに比べて誤り訂正能力が高く、より低い送信電力でより遠くまで信号を伝えられることが挙げられます。本稿では、このWSPR信号の生成方法について説明します。

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