東北大学アマチュア無線部部誌 Vol.3 新年号(2021年1月発行)

Vol.3 表紙

本誌は東北大アマチュア無線部部誌の第3号になります。
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お手軽コンテスト参加
部員K

今回私はオール宮城コンテストに参加しました。この記事をお読みの方の中にはコンテストに参加したいが、そこまで大きな規模の設備を持っていないため、楽しめるのかと心配な方もいるのではないかと思います。この記事では、お手軽設備でコンテストに参加しどのように楽しんでいるかをまとめたいと思います。気軽に読んでいただければと思います。

法律から見る電波と無線運用
富沢いずみ

本誌を読んでくださっている方の多くはアマチュア無線運用を実施している、もしくはそれに興味がある方であると思います。そんな皆さんはアマチュア無線の免許を取得する際に工学と法規の両方についての理解を深め試験を受けたと思います。そのうち工学的技術面についての解説は別の記事に譲るとして本稿では法規、特に電波を管理している電波法と無線運用に関わる無線従事者について、運用について出来るだけわかりやすく簡潔にまとめ法規面での理解を深めてもらえたらと思います。

アンテナについての基礎事項
リー

アンテナについて学ぶ・作成するにあたっての基本を、ダイポールアンテナを例としてまとめていこうと思います。

DACとヘッドホンアンプ
部員M

コンピュータからAudioを再生するためには,デジタル信号をアナログ信号に変換する DAC (Digital Analog Converter)が必要となる.このDACの分解能がハイレゾ音源を出力する際のボトルネックとなり,CD音源は16bit,ハイレゾ音源は 24bit要求される.イヤホンのインピーダンスは一般的に30Ω未満のものが多いため, DACから出力されるアナログ信号だけで十分である.しかしヘッドホンはインピーダンスが 300Ω近いものも存在するため, DAC出力だけでは十分な電力を供給することができない.この問題を解決するために DACの出力を増幅器で増幅する必要がある.この増幅器は FET (Field effect transistor)や BJT (Bipolar junction transistor)で 作ることもできるが,オペアンプを使用することで容易に実現することができる.本稿では,マルツのDAC・ヘッドホンアンプ自作キット(MHPA-PCM2705U)を,AKG K702(62Ω)で使用するために自作したため報告する

WSJT系新モード「FST4W」のプロトコルを読み解く
JP7VTF

近年、FT8をはじめとするWSJT系ディジタルモードが人気を博していますが、最近リリースされたWSJT-X v2.3.0から新モード「FST4/FST4W」が導入されました。FST4/FST4Wは特にLF帯(アマチュアバンドでは135 kHz帯)およびMF帯(475 kHz帯)用に設計されたディジタルプロトコルです。FST4はFT8のような双方向QSO用のモードで、FST4WはWSPRのような準ビーコン送信用のモードです。LF・MF帯で双方向QSO用として用いられているJT9や準ビーコン送信用モードとして用いられているWSPRと比較すると、FST4/FST4WではS/Nしきい値 が向上しています。また、参考文献ではJT9、WSPRのユーザはFST4/FST4Wに移行するように勧告しています。JT9やWSPRからFST4/FST4Wへの改良点としては以下が挙げられます。
・JT9やWSPRでは畳み込み符号(拘束長K=32、符号化率r=1/2)を用いていたが、FST4/FST4WではLow density parity check(低密度パリティ検査符号、LDPC、FST4では(n,k)=(240,101)、FST4Wでは(n,k)=(240,74))を用いており、通信路容量の理論限界により近づいている。
・JT9、WSPRではfrequency shift keying(FSK)を用いていたが、FST4/FST4WではGFSK(Gaussian filtered frequency shift keying)を用いており、占有帯域を狭窄化している。
本稿では、FST4/FST4Wのプロトコルについてプログラミング言語MATLABでの実装を交えながら読み解いていきます 。なお、本稿ではFST4/FST4Wのうち、FST4Wについての例を示して解説します 。FST4とFST4Wの差異はペイロードの違い(FST4ではFT8と同じ74ビットであるのに対してFST4WではWSPRと同じ50ビット)にありますが、プロトコルに採用されている各種方式は同じです。そのため、FST4Wの概念をそのままFST4に応用することができます。

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